コーヒーサプライチェーンのGHG削減へ、森永乳業ら3社がブラジルでバイオ炭実証実験

・森永乳業、兼松、TOWINGの3社が共同でコーヒー農園に高機能バイオ炭「宙炭」を施用する実証実験を開始
・実験ではコーヒー豆の収穫量・品質、土壌の炭素貯留量・性質改善率等を分析・評価
・将来的にはカーボンインセットの実現を通じて、気候変動対応とサプライチェーンパートナーとの関係強化を目指す

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コーヒーサプライチェーンのGHG削減へ、森永乳業ら3社がブラジルでバイオ炭実証実験
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森永乳業株式会社、兼松株式会社、株式会社TOWINGの3社は、「コーヒー2050年問題」に対する施策およびサプライチェーン全体の温室効果ガス(以下、GHG)排出量削減策の一環として、コーヒー豆のサプライチェーンパートナーであるダテーラ農園を対象に、TOWINGの高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を活用する実証実験を開始しました。

「宙炭」は、未利用バイオマスの炭化物に対し、TOWINGが保有する土壌由来の微生物群を効率的に選別・培養する技術を用いて実現した土壌改良資材です。減化学肥料・有機転換の促進、作物の品質や収穫量の向上など、多くの有効機能を持っています。一般的なバイオ炭の特徴である「炭素固定によるGHG排出量削減」「残渣利活用によるサーキュラーエコノミー」に加え、「農地内の土壌微生物群の活性化による土質改善を通じたネイチャーポジティブ」という3つの主要課題に対しての貢献が期待されています。

今回の実証実験では、コーヒー豆の収穫量・品質、土壌の炭素貯留量・性質改善率等を分析・評価し、同時に環境再生型農業の促進可能性を検証します。一定の成果が得られた場合、実証の範囲を拡大していく予定です。将来的には、ダテーラ農園が実施する持続可能なコーヒー生産体系のさらなる促進およびサプライチェーン全体のGHG排出量削減に寄与するカーボンインセットの実現を目指しています。

森永乳業は、コーポレートスローガン「かがやく"笑顔"のために」のもと、2022年度より本格的にサステナビリティ経営の実現を目指し、「サステナビリティ中長期計画2030」を策定しました。「2030年度までにScope3におけるGHG排出量削減率10%以上(2020年度比)」を目標に掲げ、達成に向けて取り組んでいます。

兼松は日本におけるスペシャルティコーヒー輸入のパイオニアであり、20年以上前から世界中の高品質なコーヒーを発掘し、輸入・販売しています。2024年4月から開始した3カ年中期経営計画「integration 1.0」の主要施策にGXを設定し、「農業・食品GX」は注力分野の1つです。

TOWINGは、2020年2月に設立された名古屋大学発のグリーン&アグリテックスタートアップです。同社のミッションは「サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会を実現する」で、GHG排出削減と、減化学肥料・有機転換を同時に実現する土壌改良資材である、高機能バイオ炭「宙炭」を開発しました。

3社の協力により、気候変動の影響でコーヒー栽培に適した土地が減少する「コーヒー2050年問題」に歯止めをかけ、コーヒー豆生産におけるGHGを削減することが期待されます。

《編集部》

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