九州大学発スタートアップJCCL、世界で初めて家庭用の給湯器からのCO2回収に成功

・家庭用ガス給湯器の排気ガス(CO₂濃度5.7%)から99%以上の高濃度まで濃縮するCO₂回収に世界で初めて成功
・従来は大規模排出源からの回収が主流だったが、小規模分散型排出源からの直接回収を可能にする装置を開発
・回収したCO₂はドライアイスや都市ガスなどへの転換が可能で、カーボンニュートラル社会実現に貢献

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九州大学発スタートアップJCCL、世界で初めて家庭用の給湯器からのCO2回収に成功
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株式会社JCCLは、世界で初めて家庭用給湯器からのCO2回収に成功したと発表しました。今回の実証には、同社が先立って開発していた、小規模なCO2排出源から直接CO2を回収するVPSA1およびVSS1という装置を使用しています。

本取り組みでは、家庭用のガス給湯器の排気ガス(CO2濃度5.7%)から実際にCO2を回収し、99%以上の高濃度まで濃縮することに成功しました。VSS1装置は、科学技術振興機構と宇宙航空研究開発機構、福岡市の支援による成果であり、今回の実証は福岡市の研究開発型スタートアップ成長支援事業補助金の支援を受けて実行されたものです。

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、CO2を分離回収し、有用物質に変換するプロセスの実現が急務となっています。これまで火力発電所や製鉄所などの大規模なCO2排出源でのプロジェクトが多数実施されてきましたが、冷暖房装置や家庭用の湯沸かし器など小規模な燃焼装置からCO2を回収する装置は市場に出ていません。

そのため、燃焼装置から空気中に放出されたCO2を空気から回収する技術(直接空気回収技術:DAC技術)の検討が進められてきましたが、一度空気中に放出されたCO2は濃度が400ppmまで希釈されるため、これを回収するには莫大なコストがかかることが課題となっていました。

今回の装置を用いると、学校や自治体、企業の事務所や家庭など全国に分散したCO2排出源から安全かつ低コストにCO2を回収することができます。回収したCO2は純度が非常に高いため、ドライアイスや都市ガスなどに転換することも可能です。

今後、JCCLはガスヒートポンプや空調設備、ボイラー、自動車など様々な小型CO2排出源からの回収ニーズを持つ事業者とともに当該技術を発展させ、社会実装していく考えです。

《編集部》

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