サントリーとTOWING、緑茶粕を活用した高機能バイオ炭で再生農業を推進

・サントリーとTOWINGが製造残渣を原料とした高機能バイオ炭の実証実験を開始
・製造残渣のアップサイクルと温室効果ガス排出削減の二つの意義がある
・再生農業における栽培効率向上と化学肥料使用抑制の両立を目指す

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サントリーとTOWING、緑茶粕を活用した高機能バイオ炭で再生農業を推進
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サントリーグループと株式会社TOWINGは、サントリーの製造工程から発生した残渣を原料とした高機能バイオ炭の実用性に関する共同実証実験を開始しました。

実証実験は「製造残渣に新たな価値を付与するアップサイクル」と「高機能バイオ炭の使用を通じた化学肥料の使用抑制等による温室効果ガス(以下、GHG)排出削減」という2つの意義を踏まえて実施されるものです。

食品ロスや農作物の残渣といった農業由来の産業廃棄物は、国内全体の5分の1を占めています。これらの多くは焼却や埋立処理されており、環境負荷の増大や資源の無駄遣いとして問題視されています。

今回の実験では、サントリーの製造工程から出た飲料残渣(緑茶粕)を炭化したバイオ炭をベースに、TOWINGが保有する有機肥料の分解促進機能等を持つ微生物群を培養した高機能バイオ炭を製造しました。

農林業由来のGHG排出量は全体の13%を占め、特に化学肥料は製造段階で化石由来原料を大量に消費し、多くのGHGを排出しています。再生農業手法の一つである有機肥料使用栽培では、新たな化学肥料の使用を減らすことでGHG排出削減が期待されますが、肥料利用効率が低く収穫量が減るといった課題があります。

高機能バイオ炭を有機肥料と同時に使用することで肥料利用効率が高まり、農作物の品質や収穫量向上が期待されます。また化学肥料の使用抑制につながることから、GHG排出削減も見込まれます。

実証実験では、チャノキを栽培するサントリーの契約農場において、通常の有機肥料使用栽培と、高機能バイオ炭を散布したうえでの有機肥料使用栽培を行い、農作物に与える影響を調査・比較する予定です。すでに完了している第1期収穫では、高機能バイオ炭を散布した農地において、農作物は通常時と同等の質を維持しつつ、収穫量が増加することを確認しています。

サントリーグループは、GHG排出量削減のために再生農業に注目しており、これまでにもサプライヤーや契約農家と協力してカバークロップや有機肥料の使用、不耕起栽培の導入などに取り組んできました。

将来的には、サントリーのサプライチェーンで生じる緑茶粕以外の製造残渣からも高機能バイオ炭を製造し、アップサイクルの拡大・推進を図る計画です。両社は持続可能な農業への取り組みを通じ、カーボンニュートラルおよび循環型社会の実現に向けて取り組んでいくとしています。

《編集部》

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