日本エネルギー機構は、太陽光発電を中心としたPPA(電力購入契約)モデルの普及を目的とする、合同会社を設立予定であることを発表しました。
新たな合同会社では、中小規模の工場や事業所に向けて、初期費用ゼロで再生可能エネルギーを導入できる仕組みを拡大していくための事業を展開します。
電力価格の高止まりが続く中、企業はカーボンニュートラルへの移行が求められています。再生可能エネルギーの導入が「選択」から「責任」へと変わりつつありる一方で、特に地方の中小企業では設備導入の初期投資、維持管理や技術面のハードル、電力契約や制度理解の煩雑さなどが導入障壁として立ちはだかっているのが現状です。
PPAは、事業者の屋根上や遊休地に設置した太陽光発電設備の所有・管理を第三者のエネルギー事業者が担い、その発電電力を企業が一定価格で購入する契約形態です。これにより、企業は自社で設備投資をすることなく、電力コストの抑制と脱炭素化を両立できます。
設立予定の合同会社は、PPAモデルを案件単位で展開するためのスキームとして活用されます。合同会社の活用には柔軟性、財務的分離、補助金適合性、投資連携といった意義があり、事業開始のスピードが早く設計自由度が高いほか、プロジェクトごとに資産・負債・リスクを切り分けることが可能です。
同社は、各地域・各業種の特性に合わせた合同会社ベースのPPAスキームを全国展開していく計画です。2025年度中には複数の合同会社設立を通じて、業種別・地域別に最適化された再エネ導入スキームを整備します。対象企業に向けて、設備費用を全額補助金・出資で賄うプランや20年スパンでの電力単価安定型プランなども準備中です。
また、地方自治体や商工団体、金融機関との連携を強めることで、持続可能な再エネ導入モデルの「地域標準化」に取り組んでいくとしています。