キリンと日立が共同研究を開始、森林由来カーボン・クレジット創出を効率化

・キリンと日立が森林由来カーボン・クレジット創出の共同研究契約を締結
・キリンの植物大量増殖技術と日立のデジタル技術を融合し高品質クレジットを目指す
・脱炭素社会の実現と生物多様性保全の両立を図る取り組み

企業動向 ビジネス
キリンと日立が共同研究を開始、森林由来カーボン・クレジット創出を効率化
  • キリンと日立が共同研究を開始、森林由来カーボン・クレジット創出を効率化
  • キリンと日立が共同研究を開始、森林由来カーボン・クレジット創出を効率化

キリンホールディングスと日立製作所は、森林由来のカーボン・クレジット創出に向けた共同研究契約を2025年3月に締結しました。両社の技術を融合させ、高品質なカーボン・クレジットの創出と生物多様性保全の両立を目指します。

本取り組みは、世界的な温室効果ガス排出量の増加や森林の炭素吸収量減少により、脱炭素社会への移行が求められている中で生じている様々な課題を解決するために始動しました。森林の炭素固定能力を最大化し、信頼性の高いカーボン・クレジットの需要に応えることを狙いとしています。

森林由来のカーボン・クレジットの分野では、適切なMRVが行われていない「ジャンク・クレジット」が問題化しています。また、クレジット申請の煩雑さを解消し、効率的に透明性の高い森林管理とクレジットの創出を行うことも課題です。苗木生産者の高齢化により事業者数が少ない状態が続いているため、より効率的な苗木の生産技術の開発も急務となっています。

共同研究では、キリンの「植物大量増殖技術」と日立の「自然計測技術とMRVに関連するデジタル技術」を活用。キリンは短期間で効率的に苗木を生産する方法を確立し、日立は炭素固定量の定量評価手法の開発や改ざん不可能なデータベースの構築、レポートの自動作成に取り組みます。

両社は今後、実際のフィールドを用いた炭素固定量および生物多様性の評価を行う実証試験の計画策定を開始する予定です。また、実証試験や社会実装に向けた連携パートナーの探索も進めていきます。

キリングループは2050年までにバリューチェーン全体のGHG排出量をネットゼロにする目標を掲げており、今回の取り組みはその一環となります。日立も2050年度までのカーボンニュートラル達成を目指しており、両社の環境への取り組みが合致する形となりました。

両社は共同研究により、質の高い森林由来カーボン・クレジットの創出を通じて、生物多様性の保全や森林事業者への貢献、GHGの削減、地球環境の改善など、多岐にわたる社会課題の同時解決を図るとしています。

《編集部》

関連タグ

特集