株式会社博報堂の「博報堂SXプロフェッショナルズ」が実施した「生活者の脱炭素意識&アクション調査」の結果が発表されました。対象は、15歳から79歳の男女1,442名です。調査によると、「脱炭素」や「カーボンニュートラル」という言葉の認知度は9割を超える高水準に達しています。

脱炭素社会に向けた取り組みがどの程度必要だと思うかという質問に対して、「非常に必要」「やや必要」と答えた人は合わせて76.0%よなり、前回調査時の74.9%より微増しました。
また、脱炭素社会の実現がどの程度差し迫った課題だと思うか聞くと、「非常に深刻であり喫緊の課題」と「すぐに対応すべき課題」を合わせて、すぐ対応すべきだと考える人は56.6%でした。前回の58.8%から微減しています。

脱炭素社会に向けた具体的な行動を起こしている人の割合は全体で33.6%にとどまっています。年代別では10代と70代で4割を超え、最も高い実施率となりました。20代から40代の実施率は25%前後で、育児や仕事で多忙である影響がうかがえます。

脱炭素に向けて行動しない理由を聞くと、「具体的に何をしたらいいのかわからない」(30.4%)、「お金がかかりそう」(28.5%)が上位でした。注目されるのは、10代の若者の意識と行動のギャップです。脱炭素への意識は高いものの、「自分一人の行動が影響を与えられると思わない」「行動しても意味がないと思っている」「過激な思想家・意識高い系だと思われたくない」といった項目が全体に比べて8から9ポイント高く、諦めや他者評価への不安が表れています。

直近1年の間に気候危機を実感したという人は、「非常に実感」と「やや実感」を合わせて約7割に達していました。

調査では、気候危機を実感するタイミングについても聞いています。「豪雨などの異常気象が多発したとき」(57.9%)、「外に出て猛烈な暑さを感じたとき」(54.5%)など、日常生活で感じる異変が上位を占めています。

気候危機を実感して始めた行動は、「家庭で節電するようになった」(48.8%)、「暑さをしのぐための対策をとるようになった」(43.6%)が4割以上となり、上位を占めました。

博報堂SXプロフェッショナルズの分析担当者は、「具体的に何をしたらいいのかわからない」という理由で行動に移せない人が多い現状について、「身近なところから始められる具体的なアクションの提示・啓蒙が鍵になりそうです」と分析しています。
さらに、10代の脱炭素社会に向けた行動の実施率や意識が高い一方で諦めの気持ちが目立った結果について「一人ひとりの行動が与えうる影響や、生活の中で簡単にできる具体アクションを示して自分事化を促し、よりポジティブな活動イメージを広げていくことがますます重要になると思われます」と述べました。
今回の調査結果は、環境問題への意識が高まる中で、行動を促すための具体的な施策の必要性を示唆しています。企業や行政には、個人の行動が持つ意義を明確に伝え、取り組みやすい脱炭素アクションを提案することが求められそうです。