イギリスに本拠地を置く大手携帯電話会社・ボーダフォンは、8月17日に発表した温室効果ガスの年次削減計画(Carbon Reduction Plan)の中で、2020年3月から2023年3月までの3年間で、自社事業からの二酸化炭素換算の排出量を92%削減したと発表しました。
製造業などと異なり温室効果ガス(GHG)の排出に直接の影響がなさそうなICT業界ですが、世界のGHG排出量の1.8%~2.8%を占めており、取り組みが必要です。
ボーダフォンは、自社事業(スコープ1、2)からのCO2排出を2027年までにネットゼロにすること、サプライチェーンからの排出(スコープ3)を2030年までに半減すること、そして2040年までに事業全体でネットゼロを達成するという目標を設定し、2020年にSBTi認証を取得しています。
ボーダフォン、CO2排出量を2020年から92%削減
ボーダフォンは2020年3月を基準年とし2023年3月までに、二酸化炭素換算(CO2e)の排出量を92%削減しました。2020年の排出量はスコープ1が9,275トン、スコープ2が84,239トンで合計で93,514トン。一方、2023年3月はスコープ1が7,154トン、スコープ2が0トンで合計7,154トンでした。
通常スコープ1は燃料の使用や焼却設備での燃焼など、スコープ2は電気の使用などが該当します。今回のボーダフォンの場合だと、ネットワークに供給する電力や、移動に使用する車両などがそれらに相当します。
同社は2021年7月に欧州事業全体での100%再生可能エネルギー(再エネ)化を達成しており、これが今回の削減に大きく貢献しています。このほか電気自動車の活用や、ビッグデータ分析とAIの活用によるエネルギー効率最適化などに取り組んでいます。
2027年までにCO2排出量を95%削減
ボーダフォン、2027年までに事業活動から排出するCO2eの95%削減を目指しています。
信頼できるカーボンクレジットを購入してのカーボンオフセットは最後の手段として、カーボンオフセットを行った場合もネットゼロ達成のため5~10%に制限するとしています。
残る項目はスコープ3ですが、スコープ3は原材料の調達や製品の使用・廃棄など、サプライチェーンを通じて排出されるCO2を指し、企業が直接コントロールすることは困難です。スコープ3の排出量に削減へ向けて同社は、ESG 報告機能の強化に投資しています。