1997年のCOP3で採択された温室効果ガス排出量削減に関する国際的な決め事です。
正式名称は「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」、英語では「Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change(通称:Kyoto Protocol)」といいます。
京都議定書で求めていること
京都議定書では先進国を対象に、法的拘束力のある温室効果ガス排出量の削減目標の設置と達成を義務付けました。具体的には基準年(1990年)から5.2%の削減が目標とされていました。
京都議定書について押さえておきたいポイントは3つです。
京都議定書のポイント①:対象国は先進国のみ
京都議定書における温室効果ガス排出量の削減目標は先進国のみに課されており、途上国は対象外です。これは気候変動枠組み条約(UNFCCC)の「共通に有しているが差異のある責任及び能力」の考え方を反映しています。
ここでいう先進国とは、UNFCCCの附属書Ⅰ国を指します。
附属書I国:オーストラリア、オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、カナダ、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、EU、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、モナコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、イギリス、アメリカ
京都議定書のポイント②:温室効果ガスとは?
そもそもですが、温室効果ガスの定義はご存じでしょうか。
温室効果ガス排出量の削減は、ときにCO2排出量の削減と同義のように扱われますが、CO2は温室効果ガスの1つでしかなく、UNFCCCでは以下の6種類が削減すべき温室効果ガスとして定義づけられています。
二酸化炭素(CO2)
メタン(CH4)
一酸化二窒素(N2O)
ハイドロフルオロカーボン(HFCs)
パーフルオロカーボン (PFCs)
六フッ化硫黄(SF6)
京都議定書のポイント③:法的拘束力のある削減義務
京都議定書では先進国に対して「法的拘束力のある温室効果ガス排出量の削減目標の設定」と「目標の達成」を取り決めました。目標達成期間は2008年から2012年です。
各国の目標は「達成」を義務付けられており、達成できなかった場合には罰則が適用されます。
主要国の目標値は以下の通りです。
-8% | EU |
---|---|
-7% | アメリカ |
-6% | カナダ、ハンガリー、日本、ポーランド |
-5% | クロアチア |
±0 | ニュージーランド、ロシア、ウクライナ |
京都議定書とパリ協定の相違点
京都議定書は2012年までの削減目標だったこともあり、現在の議論は2015年のCOP21で採択されたパリ協定が基準になっています。
パリ協定も京都議定書と同様、温室効果ガス排出量の削減を求める決め事ですが、大きな違いが2点あります。
1つ目は、参加国です。パリ協定では京都議定書の反省を活かし、途上国をふくめたすべての国に「目標の提出」を求めています。一方で、2つ目の相違点として、京都議定書では「目標の達成」を義務付けていましたが、パリ協定では「目標の提出」にとどまっています。
ざっくりまとめると
京都議定書は温室効果ガス排出量の削減目標を決めた国際合意
参加国は先進国のみで、目標の達成義務がある。
期間は2008年~2012年の第一約束期間と、2013年~2020年の第二約束期間。2020年以降はパリ協定
日本の削減目標はー6%