損保ジャパンら2社と京都大学、「災害リスクファイナンス産学共同研究部門」設立

損害保険ジャパン株式会社とSOMPOリスクマネジメント株式会社は、京都大学防災研究所とともに、「激甚化する災害に適応した持続可能な社会の実現」を目指す「災害リスクファイナンス産学共同研究部門」を設置しました。

企業動向 ビジネス
損保ジャパンら2社と京都大学、「災害リスクファイナンス産学共同研究部門」設立

損害保険ジャパン株式会社とSOMPOリスクマネジメント株式会社は、京都大学防災研究所とともに、「激甚化する災害に適応した持続可能な社会の実現」を目指す「災害リスクファイナンス産学共同研究部門」を設置しました。

研究の主な目的は、災害大国日本におけるレジリエントな社会創りのために、最新技術を開発し、社会実装に向けたフロンティア開拓を進めていくことです。京都大学防災研究所に設置し、2023年6月1日より3年間共同研究を行います。

産学官がデータ・人材を出し合い、災害時における財務影響の定量評価手法の開発と評価技術を活用した事業継続のためのファイナンス手法の研究開発を行う日本初の試みとなります。

「災害リスクファイナンス産学共同研究部門」設立の背景

損保ジャパンとSOMPOリスクは、気候変動の影響により激甚化する自然災害に対するレジリエンス力を向上し、持続可能な事業継続体制を構築することは全企業にとって喫緊の課題と考えています。

2社は研究機関等との共同研究により、自然災害リスクを定量的に評価する技術や、自然災害による産業ごとの経済損失をマクロベースで評価する技術などを構築してきました。

しかし、持続可能な事業継続体制の構築には、企業の属性やサプライチェーンを考慮した評価技術の向上が必要と判断し、自然災害の経済影響評価について知見のある京都大学防災研究所との共同研究部門設立に至りました。

主な研究内容

①日本全国を対象とした水災リスクモデリングの高度化や自然災害を対象とした事業者向け事業中断からの復旧プロセスのモデル化
②自然災害を対象とした事業者向け事業中断からの復旧プロセスのモデル化
③減災・早期復旧に資するファイナンス手法の開発
④データ活用ネットワークの構築

気候変動の影響により激甚化する自然災害について

近年、多発している異常気象の多くは、気候変動の影響によってもたらされているといわれています。2022年には、2月に日本で大雪が発生し、除雪作業中の事故が多発しました。また、5月から9月にかけて、パキスタンを中心に南アジア周辺で大雨が連続。発生した洪水により、食料や水、医療の供給が途絶え、生活への影響が長引きました。2023年に入ってからも、カナダで山火事が続いています。

異常気象から生じる自然災害は、企業活動にも重大な影響を及ぼすことが予想されます。災害発生時には、適切な金融支援と早期のサプライチェーンの復旧が、企業の事業継続に不可欠です。同研究所ではデータから災害時における企業の事業・財務分析を行い、企業の復旧に関わる要因とプロセスを可視化して、効果的なソリューションを提供することにより、企業の災害レジリエンス向上への貢献を目指します。

《編集部》