マウイ島の山火事について今わかっていること 106人死亡、今後10日で2倍の可能性も

ハワイ・マウイ島で現在発生中の山火事ですが、8月14日の発表で99人の死亡が確認されました。ただ、火災が発生したエリアの25%のみしか捜索が行われておらず、亡くなった方の人数は今後増加すると見込まれています。

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マウイ島の山火事について今わかっていること 106人死亡、今後10日で2倍の可能性も

ハワイ・マウイ島で発生した山火事について、2023年8月15日の発表で106人の死亡が確認されました。

今回の山火事はアメリカにおいて過去100年で最悪の死者数を出したともいわれています。ただし捜索が完了しているのは火災発生エリアの32%にとどまっており、亡くなった方の人数は今後増加の見込みです。また、そのうち個人が特定されているのは4名で、氏名は家族に通達後に公表される予定です。

*死者数や現地の情報はマウイ島局の発表を参考

当局は行方不明者の家族へDNAの提出を呼びかけており、大切な人の情報を求める人のための支援センターが現地のKahului Community Centerに開設されました。また、家族や友人などの安否確認はアメリカ赤十字のホットライン(1-800-733-2767)でも受け付けています。

マウイ島山火事が発生したエリアと範囲は

当局の発表によると8月8日にKula(クラ)で推定678エーカー(274万平方メートル)、Lahaina(ラハイナ)で推定2,170エーカー(約878万平方メートル)の火災が発生。どちらも現地時間(EST)14日の午後7時時点で、鎮圧率60%と85%に達しています。

しかし鎮圧(contained)といっても100%火が消えたわけではなく、それ以上の拡大を抑えるために消防士が炎を完全に囲みこんだ状態(内側ではまだ燃え続けている)を鎮圧と呼び、完全に火が消えた際に「消火(extinguished)」と宣言されます。

火災が最も激しかったラハイナは、かつてハワイの王都であり、文化遺産が残るマウイ島の中心的な観光地でしたが、今回の火災で多くが失われています。

ラハイナ修復財団の副事務局長キンバリー・フルーク氏は「われわれの知る限り、通りを歩くだけで時の流れをも遡れるような場所は、ハワイにはもうありません。それはラハイナの火事で失われてしまったのです」とNational Geographicに語りました。The Washington Postが比較した火災前後のラハイナの様子からも、今回の火災が破壊したものの大きさが見て取れます。

マウイ島の山火事、人的被害は甚大 ハワイで過去最悪とも

15日時点で106人の死亡が明らかになっていますが、全体の32%しか捜索が行われておらず今後も死者数は増加する見込みです。ハワイ州のジョシュ・グリーン知事が「今後10日間で死者数は最大2倍になる可能性がある」とCNNに語ったと報じられました。

同紙によると、死体捜索犬(Cadaver dogs)による捜索活動が行われていますが、暑さにより活動時間が制限される場所もあり捜索が進んでいないといいます。また、Daily Mailのインタビューに答えた退役軍人マイケル・ハボック・トーマス氏は現地の惨状について第二次世界大戦やベトナム戦争を例に説明。「肉の焼ける匂い」がして、装備のゴム部分は解けて使えなくなったと状況がいかに過酷であるかを伝えました。

けが人ついて、マウイ記念医療センターのArt Chasen医師は「一晩で40人の患者を診察し、そのうち8人は生命を脅かす重度の火傷を負っていた」とABCニュースに語りました。重症患者の一人は消防士で、医師によると「酸素がなくなるまで彼は現場に戻り、最終的には火の中で倒れた」うえ搬送されてから「心臓が止まり3~5分心肺蘇生を受け、一晩ICUにいた」といいます。

マウイ島の山火事、建物や地域の被害は

太平洋災害センター(PDC)と連邦緊急管理庁(FEMA)によると山火事で少なくとも2,207棟の建造物が損傷または破壊されたと推定され、うち86%が住宅地、9%が商業地とみられています。

マウイ島局のFacebookで共有された上図は被害と必要なサポートが簡潔にまとめられており、火災の被害にあったエリアを再建するには55.2億ドルが必要と推計されています。さらに4500人が継続的なシェルターを必要とし、避難した人々のために1日当たり9000食が必要となる見込みです。

《ニシダ》

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