SAFとは、持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel)の略称で、主に植物由来の原料や動物油、都市ごみ、廃プラスチックなどから作られたジェット燃料のことを指します。
従来の航空燃料が石油から生成されるのに対し、廃棄油、サトウキビなどのバイオマス燃料や、都市ごみ、廃プラスチックなどを用いて生産されるため、約60~80%のCO2削減効果があるといわれています。
航空業界によるCO2排出
Our World in Dataのまとめによると、航空業界は世界のCO2排出量の2~3%を占め、排出の絶対量は急激に増加し続けています。さらに国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization:ICAO)によると、今後国際航空の増加が予測され、それに伴い航空燃料使用量は2040年までに2.8倍~3.9倍まで増加すると推計されています。

この状況を受けICAOは2010年に「2050年まで年平均2%の燃費効率改善」「2020年以降、温室効果ガスの排出を増加させない」という2つの目標を設定し、目標達成にむけて以下4つの対策(1)新技術の導入、(2)運航方式の改善、(3)SAFの活用、(4)経済的手法の検討推進していくことが決議されました。
これらの国際的な動向を背景に、国土交通省ではSAFの導入促進を決定し2030年に使用燃料の10%をSAFに置換えることを目指しています。
SAFの原料と製造方法
SAFの製造方法といってもSAFには複数の種類と製造方法があり、さらに現在も多くの企業が研究開発を続けている段階ですが、主な製造方法としては以下の4つがあります。

さらにこれらはASTM規格(American Society for Testing Materials)の一つである国際規格、ASTM D7566によって、7種類に分類されます。

SAFが推奨される理由
航空機からのCO2削減方法としてSAFが推奨される大きな理由は主に2つあります。
SAFは大気中のCO2を増やさない
SAFのメリット1つ目は、大気中のCO2を増やさないという点です。”持続可能な”航空燃料とはいえ、燃やしてしまえばCO2は排出しますが、排出されるCO2は原料となる植物が成長する過程で大気から吸収したものであり、原理的には大気中のCO2を増やさない、と考えられています。
SAFは従来の燃料と同じように使える
SAFのもう一つのメリットは、従来の航空燃料とほぼ同じ使い方ができる、という点です。とくに現在はSAF100%での使用ができないため、従来の燃料と混ぜて従来通りの機材に給油できるという点で、電気自動車のように新たな機材を用意する必要がありません。