住友ベークライト株式会社は、非可食バイオマス由来原料であるリグニンを活用して生産する「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂の商業販売を開始しました。世界初の商業化となり、環境負荷低減と持続可能な社会の実現に貢献することが期待されています。
フェノール樹脂は高い耐熱性を持つプラスチックで、特に過酷な条件下で使用される自動車部品などに広く利用されています。しかし、焼失・摩耗などにより使用後のリサイクルが困難であるため、再生可能なバイオマス由来原料への転換が有効と見られています。
住友ベークライトは、紙パルプ製造の副生成物である「パルプ製造法由来リグニン」を活用したリグニン変性フェノール樹脂の量産体制を確立した上で、今回「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂の商業化にも成功しました。

商業化された「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂の一つ、スミライトレジンPR-L-0002は、RCS(レジンコーテッドサンド)メーカーにバインダー樹脂として採用されました。このRCSは2024年から、一部の自動車鋳造部品の生産に使用されています。
■鋳型製造用途の使用例

本製品のバイオマス率は15%となり、既存品と比較して化石資源使用量を15%削減可能で、CFP(カーボンフットプリント)11%の削減を実現しています。さらに、砂の再生時に焼却されても既存品同様に砂再生を阻害しないという特徴を持っています。

住友ベークライトは今後、自動車部品や各種バインダーなどへの適用拡大を目指し、30%を超えるバイオマス率の実現を目標としています。同社は環境・社会価値の創出を目指し、今後も環境に優しい技術・製品を開発して社会に貢献していく方針です。

なお、本製品の開発はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業の研究成果の一つであり、2010年以前から基礎研究に着手し、長年の取り組みの結果として実用化に至りました。
住友ベークライトの今回の取り組みは、プラスチック産業における環境負荷低減の新たな一歩として注目されています。バイオマス由来原料の活用拡大が、今後の持続可能な製造業の発展に重要な役割を果たすことが期待されます。