東急不動産ら、北海道ニセコで雪発電の実証実験を実施  7kWの発電能力を検証

・東急不動産らが北海道ニセコで雪発電の実証実験を実施
・発電能力を昨年の1kWから7kWに拡大し、1日最大168kWhの発電を目指す
・融雪水の集水・再利用システムも新たに導入し、地域課題解決にも貢献

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東急不動産ら、北海道ニセコで雪発電の実証実験を実施  7kWの発電能力を検証

東急不動産株式会社と株式会社東急不動産R&Dセンター、電気通信大学は、北海道虻田郡倶知安町で雪発電の実証実験を実施したことを発表しました。この取り組みは、倶知安町との包括連携協定における「サスティナブルリゾート形成」に向けた取り組みの一環として行われます。

雪発電は、高温熱源と低温熱源の温度差から発電するスターリングエンジンを用いた温度差発電です。高温熱源に太陽熱やバイオマス熱などの再生可能エネルギーを、低温熱源に雪により冷却された不凍液を利用。不凍液は高温熱源で約90度に加熱されます。この熱を道路や屋根の雪と熱交換しがら雪を溶かし、同時に雪によって冷却。繰り返すことで、発電と広範囲の融雪が両立できます。

今回の実験は、2025年1月9日から2月19日にかけて行われました。昨年度の実験から発電能力を大幅に拡大。昨年は1.0kWだった発電エンジンの能力を7.0kWに引き上げ、1日最大168kWhの発電を目指して実施しました。これは冬季の一般家庭約12軒分の電力量に相当します。

また、新たに融雪水の集水・再利用システムも導入。発電施設を設置する建屋の屋根に積もった雪を融かし、その融雪水を集水するシステムを考案しました。これにより、人力での雪下ろし作業の低減や不要化だけでなく、得られる融雪水を活用することで水不足の解決にも貢献する可能性があります。散水融雪への利用も視野に有効な活用法の検証を進めています。

東急不動産は「Value up NISEKO 2030」プロジェクトの一環として、この実証実験を位置付けています。同社は倶知安町と2022年10月に包括連携協定を締結し、スマートリゾート推進やオールシーズン化に向けた施策など、ソフト面の取り組みにも注力しています。

雪発電技術は、実用化されれば、地域におけるエネルギー自給の向上や環境負荷の低減に大きく寄与するものです。実証実験を通じて、生活課題である「積雪」を利用した発電の社会実装に向けた基礎データを確立し、今後の活用につなげていくことが期待されます。豪雪地帯の新たな可能性を切り開く取り組みとして、今後の展開が注目されています。

《編集部》

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