ブルームバーグ、「長期エネルギー見通し(NEO):2024」を発表 ネットゼロ達成の鍵は9種類の技術

・ネットゼロ達成の期限迫る
・9種類の技術が鍵
・投資額は19%増

データ・リサーチ リサーチ
ブルームバーグ、「長期エネルギー見通し(NEO):2024」を発表 ネットゼロ達成の鍵は9種類の技術
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ブルームバーグのリサーチ部門であるブルームバーグNEF(BNEF)は、2024年5月21日に「長期エネルギー見通し(NEO):2024」を発表しました。本リポートには、2050年までにネットゼロを実現するための具体的な方法と、必要事項が提示されています。

BNEFは、「ネットゼロ・シナリオ」と「経済移行シナリオ」という2つの気候変動シナリオを分析しました。これらのシナリオは、政策決定や各国の気候変動対策、企業や金融機関の低炭素移行戦略に役立てられるように設計されたものです。

ネットゼロ・シナリオでは、気温上昇を摂氏1.75度に抑えられる可能性が67%となっています。短期間で変化を起こすためには、2030年までに再生可能エネルギーが3倍に拡大すること、EV普及が加速して2034年までに内燃機関車の販売を段階的に終わらせること、蓄電池と原子力発電に加えて二酸化炭素回収技術が進展することが重要です。

BNEFのデイビッド・ホスタート氏は、「地球温暖化を摂氏2度より十分下方に抑えるための道筋はますます狭くなっている」と警鐘を鳴らしました。エネルギー移行は加速しているものの、まだ十分ではないと指摘し、今すぐに取り組む必要性を強調しています。

脱炭素に向けた対策が全く講じられないことを想定した「非移行シナリオ」も示され、比較すると、電力部門での移行による排出量削減量は、現在から2050年までの間に削減すべき総排出量のほぼ半分を占めました。

「経済移行シナリオ」は、経済的競争力があるか、消費者の選択によってのみクリーンエネルギー技術が導入されると想定したベースケースとなるモデルです。本シナリオでは、再生可能エネルギーのコスト低減が進むことで、2030年までに世界の電力発電の51%、2050年までに70%を占めると予測されています。

BNEFのイアン・ベリーマン氏は、「電力システムはコストを増やさずとも風力発電と太陽光発電の大幅な普及に対応できる」という見解を述べました。スマート充電や蓄電池、柔軟な発電所の活用が、低コストな電力システムを実現する鍵だと分析しています。

さらに、BNEFは12カ国9地域の詳細なモデル分析を行い、各国の気候変動対策「国が決定する貢献」(Nationally Determined Contribution、NDC)を評価しました。ネットゼロ・シナリオに近いのは、ブラジル、フランス、英国、米国、オーストラリアです。ドイツ、韓国、日本、インドは、経済移行シナリオに沿っているか上回っており、ネットゼロ・シナリオに近づく余地があります。中国、インドネシア、ベトナムは、次のNDC策定において排出量削減を強化する余地が最も大きい国です。

BNEFのリポートは、技術がネットゼロ達成の鍵となることを強調しています。具体的には、再生可能エネルギー、電気自動車、蓄電池・エネルギー貯蔵、原子力エネルギー、二酸化炭素回収・貯留(CCS)、水素、持続可能な航空燃料、ヒートポンプ、電力系統の9種類です。

BNEFの分析によれば、ネットゼロ・シナリオ実現には2050年までに215兆ドルの投資が必要であり、経済移行シナリオの181兆ドルよりも19%高いだけです。また、本リポートには、エネルギー移行において、各分野で低炭素水素活用と電化いずれが有効かの見通しや、技術を組み合わせて相互作用を生む方法、土地利用を検証する重要性などの課題についても記載されています。

今回のリポートは、2050年までのネットゼロ達成に向けた道筋を示しており、今後の気候変動対策の指針となることが期待されます。「長期エネルギー見通し(NEO):2024」のエグゼクティブ・サマリーと一部のリサーチデータは公開されており、全文はブルームバーグNEFのサービスにて閲覧可能です。

《編集部》