米ベンチャー・レッドウッド、シリーズDラウンドで10億ドル調達 蓄電池のリサイクル

テスラの共同創業者で最高技術責任者(CTO)でもあったJB Strauble氏が創業者兼CEOを務める、アメリカ発の環境系ベンチャーREDWOOD MATERIALS(レッドウッド・マテリアルズ)が、シリーズDラウンドで10億ドル以上を調達したことが判明しました。

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米ベンチャー・レッドウッド、シリーズDラウンドで10億ドル調達 蓄電池のリサイクル
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テスラの共同創業者で最高技術責任者(CTO)でもあったJB Strauble氏が創業者兼CEOを務める、アメリカ発の環境系ベンチャーREDWOOD MATERIALS(レッドウッド・マテリアルズ)が、シリーズDラウンドで10億ドル以上を調達したことが判明しました。

これまでもMicrosoft、Amazonなどが出資

レッドウッド・マテリアルズは再利用可能な充電池のエコシステム構築に取り組む企業です。使用済みのリチウムイオン電池を回収し、リサイクルし、新たなリチウムイオン電池になりうる部品を製造しています。

同社HPより引用

これまでもMicrosoft の Climate Innovation Fundやビル・ゲイツのBreakthrough Energy Ventures、アマゾンのClimate Pledge Fundなどが出資しており、さらに2023年2月には米国エネルギー省の「先端技術車両製造プログラム(ATVM)」から20億ドルの低金利融資を獲得し、事業の拡大を図ってきました。

今回の資金調達は、Goldman Sachs Asset Management、Capricorn's Technology Impact Fundなどが主導しています。資金は国内の充電池サプライチェーン拡大に使われる予定で、米国製のリチウム、ニッケル、コバルトなど電池材料の販売を目指しています。

トヨタ、パナソニックなどとも提携

レッドウッドは2017年の創業以来、事業を拡大し続けており自動車メーカーなどと提携を進めています。

2022年6月にはトヨタの北米拠点Toyota Motor North Americaとの提携を発表。寿命を迎えたプリウスなどのハイブリッドEV用バッテリーの回収とリサイクルを担う予定です。

さらに2022年11月にパナソニック エナジーと、電池生産におけるカーボンフットプリント低減を目指し、車載用リチウムイオン電池材料の売買契約を締結。バッテリーを製造する企業として、EV化の加速による需要増にこたえるため、リサイクル材料を用いて製造された正極材と銅箔をレッドウッドから調達する計画です。

加速する需要、中国依存の懸念

世界が脱炭素化へ向けて進むなか、EVバッテリーの重要性はますます高まる一方です。しかしながらバッテリー材料のほとんどが中国で調達、もしくは生産されていることが大きな懸念材料とされています。

NHKによると、リチウムの13%が中国産で、精錬工程は58%を占めています。さらに2023年8月の日経によると、テスラの取引先の中で蓄電池の領域の4割が中国企業であったことが判明。アメリカのバイデン大統領はこの状況に対して、中国依存からの脱却が必要であるとし、国内のEVバッテリーやその周辺企業に対し28億ドルの補助金を拠出しています。

EV化の加速によるバッテリーの需要増、中国依存からの脱却。バッテリーのリサイクルが重要な理由はこの2つだけではありません。バッテリーの主要原料であるリチウム、ニッケル、コバルト、銅の採掘地では、労働者の人権問題や地域社会との対立といった問題も存在しています。

一方で、使用済みの電子機器やバッテリーとともに大量のリチウムが廃棄されています。レッドウッドによるとリチウムイオンを含むデバイスのうちリサイクルされるのは 5%未満にも関わらず、アメリカでは毎年 1 億 5,000 万台以上のスマートフォンが廃棄されています。

今回の資金調達は、同社のバッテリー製造を加速するために用いられる計画で、今後のEV化の推進力となることを期待します。

《ニシダ》