イギリスで低炭素なセメントを製造するMaterial Evolutionが、シリーズAラウンドで1,500万ポンドを調達したと発表しました。
このラウンドは、建築環境と製造業の脱炭素化に特化したアーリーステージのVCであるKOMPAS VCが主導し、Norrsken VCとCircleRock Capital、Play Fair Capital、At One Ventures、SkyRiver Ventures、HG Ventures、Techstarsが加わっています。
Tech Crunchが報じたところによると、この投資は通常のセメント(OPC)と比較してカーボンフットプリントが85%低い、低炭素セメントの生産規模拡大に使われる予定です。
Material Evolutionは自社の技術力を差別化のポイントとして挙げており、独自の手法を活用することでより化石燃料の使用をより削減することができるといいます。
セメントはその製造工程で原材料を一度高温で加熱、急速冷却します。その際に主原料である石灰石から大量のCO2が大気中に放出され、これが従来のセメントが抱える問題点の一つとされてます。データによると、世界のセメントによるCO2排出量は1950年ごろから急増しており、2018年には世界のCO2排出量の8%を占めているという報告もありました。

セメント部門からのCO2排出量をパリ協定の基準に照らし合わせると、2030年までに少なくとも16%の排出量削減が必要となります。
一方で、セメントの生産量は今後も増加していくと推測されています。セメントは、特に低所得国において、経済発展の基盤となることが期待されています。数数多くの人がスラムで暮らす地域では、迅速な住宅ソリューションが必要とされ、さらに清潔な水を届けるインフラ、衛生設備などを建築する際の建材としてセメントは欠かせません。
だからこそ、Material Evolutionのような低炭素セメントの製造に取り組む必要があります。
日本では大成建設が2021年に「カーボンリサイクル・コンクリート」を発表しており、コンクリート製造過程におけるCO2収支マイナスを実現しています。このように、コンクリートの低炭素化へ向けて世界中の企業が研究開発を進めています。