国際NGOプラン・インターナショナルは、報告書「Falling short: addressing climate finance gap for children」(子どものための不十分な気候変動資金ギャップへの対応)を発表しました。
同報告書は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)とパリ協定に貢献する主要な多国間気候基金(MCF)からの気候変動対策資金が、「現在子どもたちが経験している著しく増大している気候危機に対応しているか」「子どもにとって重要な社会サービスのレジリエンス(強靭性)を強化しているか」「変革の担い手として子どもたちの能力を強化しているか」という3つの基準を用いて評価したものです。
同報告書では、世界の主要な気候変動基金のうち、子ども対策も含めた活動を支援していると分類できるのは、わずか2.4%(年間平均7,060万ドル)に過ぎないことを明らかにしています。一方で、ユニセフによると現在世界中で10億人以上の子どもたちが気候変動の影響により高いリスクにさらされています。
これに加えて人権やジェンダー論の文脈で語られることが多い「インターセクショナリティ(交差性)」が一部のグループにのしかかります。インターセクショナリティとは、国籍や人種、ジェンダー、階級などの属性が交差することで、一部のグループが見逃され、特に高いリスクにさらされるという考え方です。
同報告書にも「climate change disproportionately affects girls and other groups of children impacted by intersecting forms of discrimination(気候変動は、女児をはじめ、さまざまな差別の影響を受けている子どもたちに偏った影響を与える。)」という記載があります。
たとえば、気候変動が引き起こすと考えられる水不足により、水汲みなど女性や女児の家事負担が大幅に増加します。そうなると、毎年少なくとも1,250万人の女児が教育を受けられなくなると同報告書は明らかにしました。
バングラデシュのプラン・インターナショナルの国統括事務所長カビタ・ボース氏は「緊急かつ効果的な投資は、気候変動に適応するための鍵であり、子どもたち、特に短期的・長期的な影響を強く受けやすい女の子にとって重要です。子どもたちのことをほとんど考慮していない現在の支出を改める必要があります」とコメント。
ユニセフの気候アドボカシー担当特別顧問であるパロマ・エスクデロ氏は「すべての子どもたちが、少なくとも1つの、そして多くの場合複数の気候災害にさらされています。保健や水といった重要な社会サービスを気候変動に適応させるために必要な資金や投資は不十分であり、子どもたちの緊急かつ固有のニーズをほとんど把握できていないのが実情です。この状況を変えなければならない。気候危機は、子どもの権利の危機であり、気候資金、これを反映したものでなければなりません」と述べています。