【サステナビリティレポート分析】富士フイルムの気候変動対策は?事例を紹介

本シリーズではさまざまな企業のCSR報告書・統合報告書を読み解きながら、社会的に評価されている企業のSDGs、気候変動への取り組み事例を紹介します。

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本シリーズではさまざまな企業のCSR報告書・統合報告書を読み解きながら、社会的に評価されている企業のSDGs、気候変動への取り組み事例を紹介します。

今回は富士フイルムの事例を紹介。「富士フイルムホールディングス サステナビリティレポート 2022」を参考に同社の環境戦略について検討していきます。

富士フイルムHDのマテリアリティ

富士フイルムHDでは分野ごとに複数のマテリアリティを設定しています。

環境分野においては「気候変動への対応」「資源循環の促進」「脱炭素社会の実現を目指したエネルギー問題への対応」「製品・化学物質の安全確保」の4つです。

重要課題(マテリアリティ)は、既存のCSR方針と社会課題を照らし合わせて基本方針を決定。広く活用されているガイドラインやスタンダード(ISO26000、GRIスタンダード、グローバルコンパクト10原則など)を参考に、長期的に取り組むべき社会課題300項目をリストアップしています。

さらにそれらの課題を「社会の関心・要請」と「グループにとっての重要性」の2象限でマッピングし、富士フイルムのマテリアリティを抽出しています。

富士フイルムの環境関連の目標は?

富士フイルムではSDGs対応の中核的な行動計画として、2017年8月にCSR計画「SusValue Plan 2030(SVP2030)」を発表しています。SVP2030は気候変動の見習う健康や働き方に関する長期的な行動計画です。

■CO2削減

富士フイルムはCO2削減のための取り組みを複数実施しています。

そのうちの一つが「Green Value Products」認定制度の運用。同社製品のなかでも、特に環境配慮に優れた製品・サービスに対して、シルバー・ゴールド・ダイヤモンドの3段階で評価しています。

2021年度時点で認定製品は累計203に上り、2030年までに売り上げの6割を認定製品とすることを目標としています。

例としては、大容量磁気テープを用いた富士フイルムのデータアーカイブソリューション「dternity」がゴールド認定を受けています。この製品は、HDDの8割以上を占めるといわれている”使用頻度の低いデータ”を、LTOテープ(磁気テープ)に保管することによい、消費電力を74%削減できるとしています。

富士フイルムHDのCSRマネジメント体制は?

富士フイルムHDでは2019年に社長直下のESG委員会を設置しています。同委員会では、全グループ企業のESG活動推進や、リスクマネジメント、情報開示、グループ企業むけの相談窓口の運営を実施しているようです。

富士フイルムグループの各事業会社にもそれぞれESG推進部門を設置し、具体的なESG推進計画の策定や実施に取り組んでいます。

外部からの評価とイニシアチブへの参加

近年、SDGsへ積極的に取り組んでいることを示すため外部イニシアチブへの参加を表明する企業が増加しています。

富士フイルムHDも同様に複数のイニシアチブへの参加を表明しています。

こういったイニシアチブへ参加することのメリットはいくつかありますが、ひとつは外部へのアピール・ブランディング強化です。

たとえばESG投資は2015年の662億ドルから2021年末には9,281億ドルと大きく拡大しており、ESG分野へ取り組むこと、そしてそれを積極的にアピールしていくことは新たなビジネスチャンスにつながる可能性があります。

このほか、気候変動対策で先進的な欧州を中心にサプライチェーン全体での環境規制が強まっていることから、取引先が要求している環境基準を満たしていない企業は淘汰されることもあり得るでしょう。それ以外にも就職、転職時の企業選びの軸に環境・SDGsへの取り組みを考慮する求職者も増えています。

《The Green Economy編集部》