ヨーロッパ人権裁判所(European court of human rights)は、スイス政府の気候変動対策が不十分だとするスイス市民の訴えを支持する判決を下しました。
同裁判所の最高裁は、スイス政府がヨーロッパ人権条約(European Convention on Human Rights)の8条「私生活や家族生活が尊重される権利」を侵害したと判決を下した一方で、フランス市長のフランスに対する訴訟および、ポルトガルの市民団体の欧州32か国に対する訴訟は棄却されました。
今回の裁判で訴えを起こした4人のスイス人女性と高齢女性で構成された市民団体は、ヨーロッパ人権条約の2条「生活が保護される権利(Right to life)」、8条「私生活および家族生活が尊重される権利(Right to respect for private and family life)」を侵害していると主張。さらに、今回の裁判以前に行われたスイス国内の裁判において、国内裁判所が彼らの要求に適切に応じなかったとして同条約6条1項「法廷へのアクセス(Right to a fair trial)」についても権利侵害を訴えました。
この訴えに対してヨーロッパ人権裁判所は、「人権裁判所として定められた範囲で気候変動問題を扱う」と前置きをしたうえで、「人間の影響による気候変動は存在し、条約により認められた人権の行使に影響を与えている」としたうえで、不十分な気候変動対策により原告らの権利を侵害したと判断されました。