住友林業、米国で10階建て木造ビルの耐震性を検証

住友林業株式会社は、米国カリフォルニア州で10階建て木造ビルの実大振動台実験を実施しました。

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住友林業、米国で10階建て木造ビルの耐震性を検証
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住友林業株式会社は、米国カリフォルニア州で10階建て木造ビルの実大振動台実験を実施しました。実験は「NHERI TallWood Project」の第2フェーズとして行われ、住友林業は参画企業として試験体を日本の耐震基準の地震力に耐え得る性能をもつオリジナルのポストテンション仕様に改修し、検証しました。

今回の検証は、高層建築物建設時に日本の建築基準法で要求される地震動相当の波(告示波・観測波[稀・極稀地震相当レベル])と南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動、さらに阪神・淡路大震災のJMA Kobe波、第1フェーズで使用した米国基準最大想定地震のMCEレベル調整波という条件で実施。試験体を、計51回加振しました。

実験の結果、阪神・淡路大震災級の大地震を含む複数回の揺れに耐えるという木造ビルの耐震性が証明されました。構造躯体は復元力によって各加振終了時に直立状態に戻り、全加振を終えた後も木材を含む構造躯体に損傷はありませんでした。また、振動エネルギーの多くはダンパーで吸収できることも示されています。

住友林業は、2028年を目途として米国建築規準にポストテンション耐震技術を追加できるように設計法を検討しています。今回の検証を通じて得た知見をもとに、今後、国内外の中大規模木造建築で本技術の導入を進めていく予定です。木造建築の普及により炭素を長期にわたり固定して、社会全体の脱炭素に貢献することを目指しており、今後も森と木の価値を最大限に活かす研究開発を進めていくとしています。

《編集部》