「マイクロプラスチックの無い世界」を目指す英ベンチャー 約14億円を調達

英国の環境スタートアップ・MatterがシリーズAラウンドで1000万ドル(約14億円*)を調達したと発表しました。Matterは、マイクロプラスチックの回収やリサイクルのためのソリューションを研究するテクノロジー&イノベーション企業です。

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「マイクロプラスチックの無い世界」を目指す英ベンチャー 約14億円を調達

英国の環境スタートアップ・MatterがシリーズAラウンドで1000万ドル(約14億円*)を調達したと発表しました。Matterは、マイクロプラスチックの回収やリサイクルのためのソリューションを研究するテクノロジー&イノベーション企業です。今回の資金調達により、同社はマイクロプラスチックろ過技術の規模を拡大し、商業および産業用途向けのソリューションのロードマップの加速を目指します。

*2023年8月時点

マイクロプラスチックとは5ミリ以下の小さなプラスチック粒子で、環境だけでなく人間や動物の健康にも有害であると研究で示唆されています。マイクロプラスチックができるには複数の経路がありますが、Matterが問題視しているのは私たちの衣服から流出するマイクロプラスチックです。衣服の材料として頻繁に使われる化学合成繊維(ポリエステルやナイロンなど)は、プラスチックを原料としており、1回の洗濯で最大70万個のマイクロプラスチック繊維が洗濯機から放出され、現在およそ171兆個のマイクロプラスチック粒子が海に浮遊していると推計されています。

Matterは洗濯機に取り付ける専用のフィルターを開発しており、これにより洗濯によりマイクロプラスチックが放出されることを防ぎます。前述のとおり、マイクロプラスチックは環境だけでなく人体にも大きな影響があり、フランスでは2025年以降に販売される洗濯機について、マイクロプラスチックを回収するためのフィルター設置を義務付ける方針が示されました。

Matterは「極小の汚染物質がない世界に住むこと」をビジョンとしており、そのために必要なツールや技術、ソリューションの構築を行っています。同社CEOは今回の資金調達にあたり「投資家の支援と専門知識を集結することで、我々は研究を加速させ産業規模での技術応用に移行します。世界的に意義のある、マイクロプラスチックの排出削減を自信とスピードをもって推進することができます。」と述べました。

出資元であるSOUNDwavesのKatherine Keating氏は「マイクロプラスチック汚染が生態系や健康に与える影響について日々理解が深まっていることを考えれば、法制化は避けられない。」「我々はすでにMatterと協力し、同社のインパクトを拡大するための関係性を築いている」とコメントしています。

《ニシダ》