「2040年ネット・ゼロ」を目指す米・Amazonが7月18日、2022年のサステナビリティ報告書を発表しました。本記事では、Amazonの環境目標と2022年サステナビリティレポートを読み解いていきます。
Amazonのサステナビリティ目標
Amazonは大きな2つの目標を掲げています。まずは「2040年のネットゼロ達成」。これはパリ協定が目指す「2050年ネットゼロ」より10年早く、非常に野心的な目標といえるでしょう。そして「2040年のネットゼロ達成」に向け、2025年までに「100%再生可能エネルギーで事業を推進する」ことを目指しています。
さらに2019年にはGlobal Optimismと共同でThe Climate Pledge(気候変動対策に関する誓約)を設立するなど、気候変動対策に前向きな姿勢を示しています。2023年7月現在、The Climate Pledge賛同企業は442社です。The Climate Pledgeに賛同した企業は、「温室効果ガス排出量の定期的な計測と報告」「効率改善、再生可能エネルギー、原材料削減、その他の炭素排出量削減戦略など、本質的なビジネス変革やイノベーションを通じ、パリ協定に沿った脱炭素化戦略を実行」「本質的かつ永続的で、定量化ができる社会に有益なオフセットを追加し、残りの炭素排出をカーボンニュートラル化し、2040年までに年間炭素排出量の実質ゼロ化を実現」に同意していることになります。
Amazonの気候変動対策、2022年の実績は
2022年、同社のScope3まで含めた温室効果ガス排出量は71.27(MMT CO2e)で前年比-0.4%とわずかに減少しました。

排出量削減に最も貢献しているのは、Scope2です。Scope2は「自社が購入・使用した電力、熱、蒸気などのエネルギー起源の間接排出」を示すものですが、これに関してAmazonは3年連続で世界最大の再エネ購入企業です。2022年にAmazonにより消費された電力の90%は再エネ由来であり、2025年の100%再エネ化達成に向けて着実に歩みを進めています。
一方で排出量が増加しているScope1は、事業規模の成長にともなうロジスティクスの拡大と、それによる運輸など必要なエネルギーの増加によるものです。運輸部門のCO2排出量削減については、1年で約9000台の電気自動車を導入し、「e-cargo」と呼ばれるマイクロモビリティの導入などにより削減に努めています。

それ以外にも、2025年までインドに配送用の電気自動車を10,000台導入、2030年までに100,000台を世界に走らせる目標です。配送網に限らず、2022年にはフルフィルメントセンター(物流拠点)に水素で動くフォークリフトを15,000台導入、40,000台分のグリーン水素を購入する契約も済んでいるといいます。
従業員によるストライキも
Amazonは再エネ購入に積極的に取り組むなど、気候変動対策の取り組みに前向きな姿勢を見せてきました。その一方で、同社の株主や従業員からは、気候変動対策が不十分であると批判の声も上がっています。
2023年6月1日にフォーブスが報じたところによると、リモートワークからオフィス勤務への復帰とAmazonの気候変動対策、大量解雇に不満を持った従業員1,000名以上がシアトル本社にてストライキを実施しています。