日本企業10社、住友林業グループ組成の森林ファンドへ共同出資

住友林業株式会社(以下、住友林業)の傘下である米国の森林アセットマネジメント事業会社であるEastwood Forests, LLC(以下、EF社)は、森林ファンド「Eastwood Climate Smart Forestry Fund I」(以下、本ファンド)の運用を開始しました。

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日本企業10社、住友林業グループ組成の森林ファンドへ共同出資

住友林業株式会社(以下、住友林業)の傘下である米国の森林アセットマネジメント事業会社であるEastwood Forests, LLC(以下、EF社)は、森林ファンド「Eastwood Climate Smart Forestry Fund I」(以下、本ファンド)の運用を開始しました。本ファンドには、ENEOS株式会社、大阪ガス株式会社、東京センチュリー株式会社、日本郵政株式会社、日本郵船株式会社、芙蓉総合リース株式会社、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、ユニ・チャーム株式会社と住友林業グループの日本企業10社が参画。資産規模は約600億円で、運用期間は15年の計画です。

本ファンドの目的は、個々の企業では実現が難しい面積や資金規模で森林を適切に管理し、グローバルな気候変動対策を実践することです。住友林業グループと参画企業は、本ファンドを通じて森林のCO2吸収能力を高め、年平均約100万トンのCO2吸収を新たに生み出し、質の高いカーボンクレジットを創出・還元することで脱炭素社会の実現に貢献します。また、生物多様性の維持や水資源の保全など、森林の自然資本としての価値を向上させることも目指しています。

ファンドの特徴

本ファンドは、カーボンクレジットのマーケットや制度が進んでいる米国を拠点にしており、木材販売およびカーボンクレジットの創出・販売を行います。ファンドの仕組みを活用することで、適切な森林管理を行い、グローバルな気候変動対策および生物多様性の向上に貢献します。

さらに、EF社のAlex Finkral氏、Glenn Wallace氏は長年に渡る森林ファンドの運営を通じて、北米や中・南米で持続的な森林経営を実施。木材生産をしながら森林の価値向上や森林由来のカーボンクレジットを創出してきました。本ファンドでも森林が持つCO2吸収・炭素固定機能や生物多様性、水資源の保全等の多面的機能が十分発揮できる持続可能な森林経営を実践し、質の高いカーボンクレジットの創出を目指します。

くわえて、本ファンドは参画企業の出資金をもとに今後2027年までに北米を中心に約13万haの森林を購入・管理する計画です。森林資産の取得・売却、森林経営といったファンド運営の全体管理は米国の森林ファンドの組成・運営に知見・経験を有するEF社が担当。住友林業の100%子会社SFCアセットマネジメント株式会社がファンド組成及び組成後の出資者とのコミュニケーション等に関し日本側からファンドをサポートします。

参画企業はファンド運営の重要事項の決定などを通じて森林経営に関与していきます。住友林業グループと参画企業は目指すべき森林の姿を議論しながら本ファンドを運営します。

ファンドが目指す森林経営

本ファンドは従来の木材生産が目的の森林経営に加えて気候変動対策にも資する持続的な森林経営を行います。森林の状況に応じたクレジット創出の方法論(再植林、保全など)を選択してCO2吸収・炭素固定機能を高め、カーボンクレジットを創出します。有望な後継樹を残して森林の植生回復を促し、様々な樹種や樹齢の木々で構成する階層構造を持った森林を形成するIFM(Improved Forest Management、森林改善による方法論)によるクレジット創出も検討しています。
森林はNbSとして生物多様性や水資源の保全などの公益的機能の発揮も期待できます。本ファンドは森林管理を通じて多様な生物が生息できる環境を提供し生物多様性を高めていきます。持続可能な森林経営の国際スタンダードであるFSC等の森林認証制度の基準に従いHigh Conservation Value Forest(生物多様性が高い地域や種の絶滅危機にある生息地などの保護すべき価値の高い森林)を保全していきます。

このような取り組みにより、本ファンドは森林管理に関与しながら、気候変動対策や自然資本の保全に貢献することを目指しています。

《編集部》

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