危機に瀕するマグロの持続可能性【5月2日は世界まぐろデー】

今日、5月2日はWorld Tuna Day(世界まぐろデー)。お寿司屋さんに行くと当たり前のように並んでいるマグロが、実は危機に比していることをご存じでしょうか?

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危機に瀕するマグロの持続可能性【5月2日は世界まぐろデー】
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今日、5月2日はWorld Tuna Day(世界まぐろデー)。お寿司屋さんに行くと当たり前のように並んでいるマグロが、実は危機に比していることをご存じでしょうか?

増加するマグロ需要

日本では寿司ネタとして人気のマグロですが、栄養価の高さや手軽さから世界中で需要が高まっています。特にツナ缶は、手軽で長期保存がきき、さらに安価なたんぱく源として途上国を中心に多くの国で消費されるようになりました。

ResearchAndMarkets.comが今年3月に発表したマグロ市場に関するレポートによると、世界のマグロ市場は2022年から年平均3.65%で成長し、2022年の426 億 3000 万ドルから2028年には528 億 5000 万ドルに達する見込みです。

3割は持続不可能なレベルで漁獲

ひとくちにマグロといっても、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンナガなどいくつかの種類があります。

2017年には、7つの主要なマグロ種のうち33.3%が生物学的に持続不可能なレベルで漁獲されたと推定されています。さらに「本マグロ」とも呼ばれるクロマグロは、2010年に初期資源量の1.7%まで減少し、枯渇の危機となりました。2010年には10.2%まで回復したものの、以前枯渇状態であることに変わりはありません。

※初期資源量:漁業が開始される以前の推定資源量
初期資源量の20%を下回ると、禁漁を検討する危険水準と言われる

こういった状況をうけ、FAO(国連食糧農業機関)や漁業管理を執り行うWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)などが議論を行い乱獲を防ぐための規制を行っています。

これからもおいしいマグロを食べるために

お刺身やお寿司など、これからもおいしいマグロを食べるためには、何をすればよいのでしょうか。

消費者目線では、近年、水産物の持続可能性を保証する「海のエコラベル」つきマグロ製品の販売量が増加しています。

「海のエコラベル」はMSC認証を取得した漁業によって獲られた水産物の証で、現在、世界では天然の水産資源を対象とする400を超える漁業がMSC漁業認証を取得。2022年のMSCジャパンの発表によると、マグロ・カツオ類漁獲量の39%がMSC漁業認証を取得した持続可能な漁業によって獲られたものといいます。

ほかにも、2021年には複数の日本企業・団体が「持続可能な熱帯マグロ資源管理を求める要望書」をWCPFCと水産庁に提出しており、水産資源を守るための国際ルールの導入を求めています。

日本は世界有数のマグロ消費国です。これからもおいしいマグロを心置きなく食べるためにも、海の環境や生態系に配慮した漁業がおこなわれることを期待します。

《The Green Economy編集部》