国際環境NGOマーケット・フォースと特定非営利活動法人気候ネットワーク、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)などの環境NGOとその代表者を含む個人株主は、金融・電力業界の4企業(三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、中部電力)に対して株主提案を提出しました。
今回の提案は、企業の取締役会が気候関連事業リスクおよび機会の適切な管理・監督を行う上で必要な能力や人材を備えているか、株主が評価するための情報開示を求める内容です。メガバンク3社への提案にはこれらのほかに、気候変動リスク管理戦略を踏まえ、化石燃料セクターの顧客の移行計画とパリ協定1.5℃目標との整合性についての評価と、信頼性の高い移行計画を作成しなかった場合の対応措置の開示を求める提案が含まれていました。

6月末に実施された株主総会では、全議案が決議されました。議決権行使助言会社のISSは、メガバンクに対する取締役のコンピテンシーを求める提案に賛同を表明しており、各社は反論を提示しましたが、提案内容は世界的な機関投資家の要望に即したものとなっています。
中部電力は、化石燃料事業を拡大し続ける発電会社JERAの株式を50%保有し、その脱炭素戦略にも依存しています。しかし、同社の取締役会が気候関連リスクと機会を管理するための専門知識を十分に備えているかは不明であり、投資家が期待する情報開示と実際の開示内容には大きな乖離がありました。
マーケット・フォースのエネルギーファイナンスアナリスト鈴木幸子氏は、ネットゼロ目標に関して中部電力は抽象的な考えの説明に留まり、具体策が示されなかった点にも懸念を示しています。気候ネットワーク プログラムのコーディネーター鈴木康子氏氏は「提案に対する23.3%という賛成には、電力会社にも、より具体的かつ実質的な気候変動対策を進められる人材と気候コンピテンシーが必要であるとの投資家の期待が込められているのでは」と述べました。
メガバンク3社に対しては、2023年の提案に比べて賛成率が伸びたことが注目されます。マーケット・フォースの日本エネルギー金融キャンペーナーである渡辺瑛莉氏は、「日本のメガバンクが気候科学に反して化石燃料拡大への支援を増額していることは、世界の中で大きく遅れを取っている」と述べ、気候変動対策の強化を求めています。
これまでの株主提案は、企業の取り組みの段階的な改善に重要な役割を果たしてきました。2020年には、気候ネットワークからの株主提案を受けた後に、みずほFGが日本の銀行で初となる石炭火力フェーズアウト目標を設定し、メガバンク2社が続くという成果が得られています。2024年の株主提案の対象となった企業も、これまでに情報開示の内容を改善しており、新たな報告書でのさらなる改善が注目されます。