約3割の自治体が削減目標「国未満」、WWF ジャパンが自治体の脱炭素化に関する実態調査結果を発表 

「国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)」を前に、WWF ジャパンは、全国47都道府県の自治体を対象に実施した脱炭素化の実態調査の結果を発表しました。

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約3割の自治体が削減目標「国未満」、WWF ジャパンが自治体の脱炭素化に関する実態調査結果を発表 
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「国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)」を前に、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(以下、WWF ジャパン)は、全国47都道府県の自治体を対象に実施した脱炭素化の実態調査の結果を発表しました。

調査の結果、中期目標については、国が掲げる「2030年に温室効果ガス46%削減、50%の高みを目指す」を超える目標を持つのは6自治体(青森、岩手、秋田、東京、富山、長野)でした。27自治体が国と同等の目標を掲げ、全体の約3割にあたる14自治体が国の目標を下回る目標を掲げていました。長期目標では、茨城県を除く46の自治体が国と同様に「2050年までに排出量ゼロ」を目指しており、独自に2050年より早い時期を設定した自治体はありません。

青森県を除く46の自治体では、各自治体が所有する施設に再エネを導入していました。一方で、省エネについて具体的なエネルギー消費量の数値を目標に掲げたのは19自治体で、全体の4割に留まります。

気候変動イニシアティブといった脱炭素関連の連盟やキャンペーンには、25自治体が加入し、参加企業、団体など非国家アクター間で横連携を図りながら脱炭素化の取り組みを進めています。

脱炭素を推進する上での課題を選ぶ質問では、「自治体独自の財源確保」という回答が最多でした。「人的リソースの不足」や、「地元企業の理解不足」なども、複数の自治体が抱える課題であることが浮き彫りになっています。また、再エネや省エネの取り組み姿勢と財政力の間には、弱い相関関係があることが明らかになりました。

地域別の分析では、「総合評価」の最上位グループに、東京都、神奈川県、大阪府などの都市が入っています。「総合評価」のほか、「省エネ努力度」や「再エネ努力度」など、全体的に西日本ブロックの取り組みが遅れている傾向が明らかになりました。

WWFジャパンは、日本に対して、2030年削減目標の引き上げと2035年目標の新設に向けて、早急に議論を開始するべきだとしています。今回の調査結果から、国の目標が事実上の上限になっていることが推察されるため、日本全体での意欲的な排出削減の水準を導出するように要求。また、自治体が財源や人的リソースの観点で課題を抱えていることから、GX経済移行債を通じて、排出削減の効果が不確実な事業への投資の支援ではなく、根本的な自治体の課題の解消を検討することを推奨し、支援案を充実させるように求めています。

一方、自治体に対しては、国の水準を考慮要素にしつつも、可能な限り意欲的な削減目標案と、それを実現する省エネ・再エネ等に関する施策案を検討するべきだと呼びかけています。地域の制約条件に過度にこだわることなく、意欲的な目標を達成するために、今必要なことを検討する「バックキャスト」の考え方で削減目標と省エネ・再エネ等の施策を同時に検討していく必要があると説明。自治体のみで制約条件を克服できない場合は、その事実と必要な支援策を国および社会、投資家に発信することにより、社会全体での検討が可能になるという意見を示しました。

WWFジャパンは、現場である地方自治体が抱えるあらゆる課題や事情も、オープンな形で俎上に載せることが重要だという点を繰り返し指摘しています。

《編集部》