アマゾン、イケア、テスコ、ユニリーバなど、イギリスで事業を展開する大手企業100社以上が、同国の気候変動に関する公約とネット・ゼロ移行への支援加速を求めてリシ・スナク首相宛に書簡を送ったことが分かりました。
署名企業には、アマゾンやネスレ、イギリス国内における時価総額*5位のユニリーバや、7位のBP、イギリス食料品店最大手**のテスコなどが名を連ねています。さらにイギリスを含め世界中で事業を展開する日立グループの日立エナジーも署名しています。
*時価総額のランキングはGoogle Rankingを参照
**イギリス食料品店の市場規模はMarket share of grocery stores in Great Britain 2023を参照
各業界を代表する署名企業は、気候変動への貢献とネットゼロへの移行は「大規模な経済的機会」と捉え、今後数十億ポンド単位で脱炭素分野に投資していくつもりであるとしています。さらに書簡では、「迅速な行動の必要性について、経済全体のコンセンサスはとれており、政策はこれを反映すべきである。」「我々は気候変動と闘うための策を持っている。」と政策の遅れについて批判的な意見が続いています。
書簡では気候変動対策は「将来の地球のためにやるべきこと」かつ「取り組みを加速するべき事項」であると同時に、「21世紀の経済的機会」であると書かれています。「政府が脱炭素・低炭素社会の実現に向け取り組まなければ、英国は世界から取り残される懸念があります。我々は投資する用意をしていますが、さらなるリーダーシップとコミットメントを求めています。」
イギリス政府の気候変動対策はここしばらく批判の的になっています。直近では、7月17日に明らかになった140ページにわたる5か年の気候変動適応計画(Third National Adaptation Programme)は専門家からは「気候変動や環境を優先していない政府による、弱小な計画だ」と厳しい評価を受けました。
さらに6月には同国環境大臣のZac Goldsmith氏が、スナク首相が気候変動に対して「無関心」であるとして大臣を辞任したとBBCが報じています。Goldsmith氏は主要法案であった動物愛護法案の破棄や、気候変動対策と環境保護に116億ポンドを投じるという公約が破棄されたことを批判しました。
これに対してスナク首相は「英国は気候変動への取り組みにおいて、世界的に重要な役割を果たし続けている」と述べています。