木村化工機株式会社、SAF燃料製造時のCO2排出をゼロにできる蒸留装置を発売

木村化工機株式会社は、SAF(持続可能な航空燃料)の原料用バイオエタノールを蒸留する際のCO2排出をゼロにする「省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」を発売しました。

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木村化工機株式会社、SAF燃料製造時のCO2排出をゼロにできる蒸留装置を発売

木村化工機株式会社は、SAF(持続可能な航空燃料)の原料用バイオエタノールを蒸留する際のCO2排出をゼロにする「省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」を発売しました。

SAFは「Sustainable Aviation Fuel」の略で、バイオマスや廃棄物を原料とするため、カーボンニュートラルとなる持続可能な航空燃料のことです。世界中の航空会社がSAFを導入すると、CO2の排出を大幅に削減できると期待されています。国土交通省もSAF導入・普及を推進しており、2030年には「本邦エアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換える」という目標を定めています。

しかし、SAF燃料の製造においては、CO2排出削減を目指すための課題がありました。特にバイオエタノールを原料に用いて、糖化発酵させたアルコールを経由する製法では、ボイラ蒸気が使われる蒸留プロセスにおいて多量のCO2が排出されることが課題となっていました。

同社が開発した装置では、蒸留プロセスでのボイラ使用によるCO2排出量の課題を解決する、革新的な技術を採用しています。「省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」はボイラ蒸気が不要で、電力のみで蒸留を行うことが可能です。

ヒートポンプを採用しており、装置から排出される低温レベルの熱をヒートポンプで回収し、有効エネルギーとして再利用します。再生可能エネルギー由来の電力を使用すれば、CO2排出量ゼロでSAF原料用バイオエタノールを蒸留できるようになりました。

木村化工機株式会社は、これまでにも各種の「省エネ型ヒートポンプ式蒸発・蒸留装置」の開発で実績を積んできました。2017年には「ヒートポンプ式メタノール蒸留装置」を開発し、「省エネ大賞 経済産業大臣賞」や「環境大臣表彰」を受賞しています。本装置ではさらに技術を発展させ、消費エネルギーを大幅に削減しました。

同社は、「蒸留にはボイラ・蒸気が必要」という固定概念を打ち破り、電化によるCO2排出ゼロを目指しています。航空業界の環境問題に革命をもたらす本装置により、SAF燃料の普及が一層加速することが期待されます。

《編集部》